2015年04月16日

オリギュア開発史-4

前回からの続きで、第4世代開発段階の記事になります。

折紙は自由だ!
 オリギュア開発を止めてしまおう(そして、もっと一般受けのするもの折ろう)・・・そう思っていた時期が俺にもありました。
 ネタはさておき、そう思っていたのは事実です。というのも、オリギュアの下記制約の中では、これ以上の発展が難しいと考えていたからです。

 <第3世代オリギュアの制約>
・プリンター染色紙の使用(最大サイズと紙種が限られる)。
・全部品同一サイズの正方形使用。
・不切

 鋭い方はお分かりかと思いますが、使用枚数を増やせば、この制約条件下でも表現の幅は広げられます。が、やりたくなかった。
 兎に角、止めてしまおうと思っていたのに、どうして止め(られ)なかったのか・・・。もちろん他人の作品の影響を受けたからですが、キッカケは意外にも人物造形作品ではありませんでした・・・。その作品はこれ。

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「Mont-Saint-Mishel」作:川畑文昭(第18回折紙探偵団コンベンション展示より)


 第18回折紙探偵団コンベンションの展示で見たこの作品・・・1枚の紙に切り込みを入れ、折って作っているようですが、折紙というより切り折り紙の分野になる気がします。これを折紙界で知らない人はいない川畑さんがやったというのも衝撃が大きかったです。
 この作品を見た瞬間、自分の中で折紙の概念が変わったような気がします。そう、折紙は自由なのだと。そして、自身のオリギュアに課している制約を見つめなおし、紙サイズ統一という制約を無くした時に広がる無限の可能性に気が付いたのです。
 というわけで、(切り込みを入れるのと、正方形以外の紙を使うのは嫌だったので)紙サイズを各部品で自由とする事で、どこまで美少女フィギュアを表現できるか・・・第4世代オリギュアの開発が始まりました。

究極のプラットフォーム化と失敗
 第4世代の開発にあたり、最初のアイディアはマネキン状の素体に服、髪部品を取り付けるというものでした。素体を転用し、服、髪部品の新規開発のみで様々な作品を展開できる・・・究極のプラットフォーム化を狙ったわけです。
 用紙サイズの異なる複合作品を本気で考えたのは今回が初めて(中学の頃はよくやっていましたが)・・・色々と失敗を繰り返し、ようやくβ版の素体ができました。

sotai.jpg
折紙少女素体ver.β


 そして服と髪をつけた作例1号がこちらです。

shojo_seihuku.jpg
折紙少女 ver制服試作


 結果として、このアイディアは失敗でした。よく考えると分かりますが、服部品に極薄の紙が必要になるのです・・・(なんだか1世代の時も似たような失敗を・・・)。というわけで、このマネキン案はお蔵入りとなりました。

 この失敗から、マネキン状の素体を使用するという案は捨て、出来るだけ共通で使える部品構成を考慮しつつ、使用枚数を最小限に抑える方向で第4世代の開発を進めていくことになりました。
 続く・・・。
posted by ゼニガメ男爵 at 23:59| Comment(0) | 雑記

2015年03月26日

オリギュア開発史-3

前回からの続きで、第3世代オリギュアについての記事になります。

第3世代

 第3世代は、第2世代で明確化した2点の課題(紙色、顔の再現性)の解決に挑戦しつつ、新たに「プラットフォーム化」という思想を取り入れたものになります。特徴をまとめると以下のようになります。

 ・制約条件は第1、第2世代と同じ(不切正方形折り、各部品同サイズ用紙使用)
 ・顔の表現
 ・プリンター染色紙を使用

3rd.jpg
第3世代オリギュア「おり」

本作品では、第2世代の課題に対して下記のアプローチで解決を図っています。

 @紙色が悪かった → プリンター染色紙を使用して任意の色を表現
 A顔の再現性が悪い → オリジナルキャラ使う(!?)


灯台元暗し!

 紙色は、自分で染色しない限り、市販の紙色の制約を受けます。作品を創るにあたり、紙の厚さ、コシ、質感に加え、色まで最適なものを毎回選ぶのは大変です。自分で染色するのも非常に手間がかかるし技術も無い、どうしようか・・・と悩んでいた時、コンベンションで小松氏に見せて(触らせて)もらったインクジェットプリンターでプリントアウトした紙(プリンター染色紙)のことを思い出しました。
 プリンター染色紙は意外に、丁度いいコシと厚みがあり、何より任意の色をPCで作り出せる・・・オリギュアにぴったりな特徴を有していたのです。これは本当に灯台元暗しでした(本業で毎日触ってるのにね・・・)。

 早速、薄めの普通紙を購入し、プリンターの設定を色々と試して紙を作りました。そして、作った紙に最適化して創作しました。ほとんどの創作家のアプローチは「作品→最適な紙を選ぶ」だと思いますが、その逆、紙に合わせた最適な技法、構造で設計しているわけです。この辺から、段々と製品設計者の思想が入って来ていると自分では感じています。そして、この材料を含めた総合的な作品設計の思想は、複合作品の創作において非常に重要なキーであると考えています(この辺は、その内まとめたいです)。


これは逃げか?

 今回は、これまでの版権物のキャラクターではなく、自身のオリジナルキャラクターをモチーフにしています。これにより、「誰これ?」とはなりません(え・・・)。
 この時点で、顔の表現技法は、まだ既存キャラクターを表現するに至っていませんでした(未だ研究中)。兎に角、前作(やよい)より可愛く、萌えられるように・・・を目標にしつつ、モチーフをオリジナルとすることで作品としての完成度を高めようとしたわけです。
 ある意味逃げかもしれませんが、版権物は著作権の関係から大手を振って発表できるものでも無く、あくまで個人的趣味の範疇になることから考えても、オリギュアの最終点はキャラデザも含めたオリジナル作品を目指したいとぼんやり思っています。


始まるプラットフォーム化

 第3世代では、複合作品の創作難度を下げるため、プラットフォーム化を目指しています。ここで言うプラットフォーム化とは、折紙的に言えば基本形を作ることで、バリエーションとして作品数を容易に増やせるといった感じです。
 第2世代までのオリギュア作品は、それぞれ専用の部品構成、折りとなっており、創作期間も非常に長くなっています。これを打開すべく、第3世代では、部品構成の共通化と、転用可能な人型の基礎(素体)を目指しました。それがこちらです。

3rd-fream.jpg
 第3世代 素体(2枚組み)

「おり」はこの素体から作られています。作例は振袖モチーフになっていますが、下半身の服領域の折りを変更すればスカートに、髪部品を変更すれば別髪型に、服部品を変更すれば別の服装に・・・といったように別作品に比較的容易に変えることが可能になっています。


課題はやはり顔

以上のように、第3世代では、「材料(紙)」、「基本構成」の2点で大きく進歩しました。そして、肝心の「顔」はというと、コンベンションの展示では、そこそこの評価を得られていたように思えます。ただ、顔の割れ線が目立ってしまっている点について数人から指摘を得られました。

ori_face.jpg
「おり」顔アップ


また、顎にあたる部分の安定性が無い点も問題で、制作における歩留まりが悪いという表に出ない課題もありました(実は発表した作品は本折り2つ目。1つ目は顔が微妙になったのでボツになっています)。

 これらの課題を有していましたが、オリギュア着想当初のイメージに大分近づいて満足したことと、刺激を受けるような作品が暫く現れなかったのとで、ここでオリギュアの開発研究を止めよう・・・当時はそう思っていました。

続く
posted by ゼニガメ男爵 at 23:16| Comment(0) | 雑記

2015年02月17日

オリギュア開発史-2

前回からの続きで、第2世代オリギュアについての記事になります。

第2世代
 多くの試行錯誤を繰り返した結果、顔の表現をオリギュアに実装できました(顔の表現の試行錯誤については、その内、記事にしたいと思います)。それがこちらです。
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第2世代オリギュア「高槻やよい」

 見てのとおり、かわいい!とはならないレベルですが、まあ見られるレベルになったかなあ・・・と思っています。

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顔アップ(※第4世代まで続く顔の基本構成がこの時できた)

 自分が第2世代と呼ぶ、この作品の特徴は以下の通りです。

  ・制約条件は第1世代と同じ(不切正方形折り、各部品同サイズ用紙使用)
  ・顔の表現


 要は、第1世代に顔の表現を足したものです。当時、1枚折り勢がまだ成しえていなかった顔の表現を先駆けてできた事は良かったのですが、初めて展示した関西コンベンションでは、思った程の反響は得られなかったように思えます。その要因として下記の2点の問題点があったと分析しています。

  @ 紙色(顔色)が悪かった
  A 顔の再現性をもっと上げる必要があった


 この作品はカラペを使用していますが、肌色が緑になっており、まるで妖怪人間のようになってしまっていました(カラペに最適な紙色が無かった)。折角の作品も、紙の選択次第で完成度が大きく変わるということに、今更ながら気付かされました。
 また、顔を表現するという事は、作品のハードルを一気に引き上げる事になるということが実証されました。
 顔が無ければ、観賞者の「見立て」に頼ることができるため、そのキャラクターである!と認識され易いです。しかし、顔があって、その再現度が低い場合・・・誰これ?かわいくない!となるわけです。つまり、顔を表現するという事は、観賞者の「見立て」に頼れなくなるということになり、一気にハードルが上がるのです。
 以上より、オリギュアの次の目標は、上記2つの課題について解決を目指す事になりました。

 続く・・・。
タグ:オリギュア
posted by ゼニガメ男爵 at 23:49| Comment(0) | 雑記