2015年03月26日

オリギュア開発史-3

前回からの続きで、第3世代オリギュアについての記事になります。

第3世代

 第3世代は、第2世代で明確化した2点の課題(紙色、顔の再現性)の解決に挑戦しつつ、新たに「プラットフォーム化」という思想を取り入れたものになります。特徴をまとめると以下のようになります。

 ・制約条件は第1、第2世代と同じ(不切正方形折り、各部品同サイズ用紙使用)
 ・顔の表現
 ・プリンター染色紙を使用

3rd.jpg
第3世代オリギュア「おり」

本作品では、第2世代の課題に対して下記のアプローチで解決を図っています。

 @紙色が悪かった → プリンター染色紙を使用して任意の色を表現
 A顔の再現性が悪い → オリジナルキャラ使う(!?)


灯台元暗し!

 紙色は、自分で染色しない限り、市販の紙色の制約を受けます。作品を創るにあたり、紙の厚さ、コシ、質感に加え、色まで最適なものを毎回選ぶのは大変です。自分で染色するのも非常に手間がかかるし技術も無い、どうしようか・・・と悩んでいた時、コンベンションで小松氏に見せて(触らせて)もらったインクジェットプリンターでプリントアウトした紙(プリンター染色紙)のことを思い出しました。
 プリンター染色紙は意外に、丁度いいコシと厚みがあり、何より任意の色をPCで作り出せる・・・オリギュアにぴったりな特徴を有していたのです。これは本当に灯台元暗しでした(本業で毎日触ってるのにね・・・)。

 早速、薄めの普通紙を購入し、プリンターの設定を色々と試して紙を作りました。そして、作った紙に最適化して創作しました。ほとんどの創作家のアプローチは「作品→最適な紙を選ぶ」だと思いますが、その逆、紙に合わせた最適な技法、構造で設計しているわけです。この辺から、段々と製品設計者の思想が入って来ていると自分では感じています。そして、この材料を含めた総合的な作品設計の思想は、複合作品の創作において非常に重要なキーであると考えています(この辺は、その内まとめたいです)。


これは逃げか?

 今回は、これまでの版権物のキャラクターではなく、自身のオリジナルキャラクターをモチーフにしています。これにより、「誰これ?」とはなりません(え・・・)。
 この時点で、顔の表現技法は、まだ既存キャラクターを表現するに至っていませんでした(未だ研究中)。兎に角、前作(やよい)より可愛く、萌えられるように・・・を目標にしつつ、モチーフをオリジナルとすることで作品としての完成度を高めようとしたわけです。
 ある意味逃げかもしれませんが、版権物は著作権の関係から大手を振って発表できるものでも無く、あくまで個人的趣味の範疇になることから考えても、オリギュアの最終点はキャラデザも含めたオリジナル作品を目指したいとぼんやり思っています。


始まるプラットフォーム化

 第3世代では、複合作品の創作難度を下げるため、プラットフォーム化を目指しています。ここで言うプラットフォーム化とは、折紙的に言えば基本形を作ることで、バリエーションとして作品数を容易に増やせるといった感じです。
 第2世代までのオリギュア作品は、それぞれ専用の部品構成、折りとなっており、創作期間も非常に長くなっています。これを打開すべく、第3世代では、部品構成の共通化と、転用可能な人型の基礎(素体)を目指しました。それがこちらです。

3rd-fream.jpg
 第3世代 素体(2枚組み)

「おり」はこの素体から作られています。作例は振袖モチーフになっていますが、下半身の服領域の折りを変更すればスカートに、髪部品を変更すれば別髪型に、服部品を変更すれば別の服装に・・・といったように別作品に比較的容易に変えることが可能になっています。


課題はやはり顔

以上のように、第3世代では、「材料(紙)」、「基本構成」の2点で大きく進歩しました。そして、肝心の「顔」はというと、コンベンションの展示では、そこそこの評価を得られていたように思えます。ただ、顔の割れ線が目立ってしまっている点について数人から指摘を得られました。

ori_face.jpg
「おり」顔アップ


また、顎にあたる部分の安定性が無い点も問題で、制作における歩留まりが悪いという表に出ない課題もありました(実は発表した作品は本折り2つ目。1つ目は顔が微妙になったのでボツになっています)。

 これらの課題を有していましたが、オリギュア着想当初のイメージに大分近づいて満足したことと、刺激を受けるような作品が暫く現れなかったのとで、ここでオリギュアの開発研究を止めよう・・・当時はそう思っていました。

続く
posted by ゼニガメ男爵 at 23:16| Comment(0) | 雑記